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【つくば 注文住宅】セキスイハイムに決めた3つの決定打――支店長・工場生産・娘の寝顔

家づくり連載・第4回。いよいよ、本連載のクライマックスだ。

前回(第3回・6社比較編)で、6社のうち5社が私たちの検討から外れていく過程を書いた。残った1社がセキスイハイム。だが、ハイムを「消去法で残った1社」と表現するのは、半分しか合っていない。

残りの半分── 私たちを最終的にハイムへと押し出した、論理を超えた3つの決定打がある。本記事はその全貌の記録だ。

我々は意思決定を「論理」で組み立ててきたつもりだった。だが家づくりという長期プロジェクトの最終局面では、論理だけでは越えられない壁がある。そこを越えさせてくれたのは、いくつかの「偶然」だった。
博士が「偶然」って単語使うの、結構レアよね。普段は「観測ノイズ」とか言うのに(笑)。
目次

決定打①── 「若手の不在」が生んだ、支店長との出会い

第2回で書いた「担当ガチャ」の話を覚えているだろうか。住宅業界では、最初に接点を持った営業が原則そのまま担当として固定される── という構造的な落とし穴の話だ。

我が家は、このガチャでとんでもない当たりを引いた

スーモカウンタからセキスイハイムの事務所に紹介の電話が入った瞬間、たまたま若手の営業マンが全員出払っていた。そして、偶然その電話を取ってくれたのが── 支店長だった。

これ、後から聞いてゾッとしたよね。電話のタイミングが30分ズレてたら、たぶん全然違う担当になってたわけで。
これが「初期条件の偶然」がもたらす結果だ。系のスタート地点でわずかな揺らぎがあっただけで、その後の軌道が大きく変わる。家づくりにおいては、この初期条件こそが、契約価格・提案精度・意思決定スピードを支配する。

支店長との出会いがもたらしたメリットは、あらゆるフェーズで実感することになる。

  • 意思決定スピード: 値引き・仕様変更などの判断が、その場で即決できる
  • 提案精度: 数十年の経験から、こちらの言語化できていない要望まで汲んでくれる
  • 安心感: 「この人に任せておけば大丈夫」という、長期プロジェクトに不可欠な信頼感

ちなみにこの方には、この後の家の売却・引っ越しのフェーズでも大変お世話になることになるのだが── その話はもう少し先の連載で書く。

決定打②── 「工場で家を作る」という、品質を制御する思想

2つ目の決定打は、理系夫の心を完全に撃ち抜いたポイントだ。

セキスイハイムの最大の特徴は、住宅の大部分を工場で生産する「ユニット工法」だ。鉄骨フレームに壁・床・天井・配線・配管まで組み込んだ「ユニット」を工場で完成させ、それをトラックで現場に運び、クレーンで据え付ける。

普通の住宅は、現場で大工さんがゼロから組み上げていく。これに対してハイムは、家の8割以上を工場の中で完成させてしまう。

これは私の専門である制御工学の観点で見ると、極めて合理的なアプローチだ。屋外の現場には、天候・気温・湿度・職人の技量という「制御不能な変数」が大量に存在する。一方、工場という閉じた環境なら、これらの変数を全て制御下に置ける不確実性を物理的に排除する設計思想だ。
博士、この話するときの目の輝きが完全に研究者のそれだったわ。「品質をコントロールする思想がね……」って、もう完全に恋。

笑い話のように書いているが、これは家づくりにおいては本質的に重要なポイントだ。

住宅業界には「当たりハズレ」という言葉がある。同じハウスメーカー、同じ設計図でも、現場の職人や天候によって品質にバラつきが出るという話だ。これは現場で家を作る限り、ある程度避けられない宿命でもある。

ハイムのユニット工法は、この「当たりハズレの分散」そのものを設計思想で潰しにきている。雨の日に家を建てない。気温5度以下では作業しない。すべての継手の精度をミリ単位で測定する── 工場でしかできないこのレベルの品質管理が、引き渡し後30年・40年の住み心地に直結する。

家の性能の再現性が、工場という装置で担保されている」── この一点が、私たち夫婦の中で「ハイム以外ありえない」というレベルまで評価を引き上げた。

決定打③── 「娘の生体データ」が示した、再現性のある真実

そして最後の決定打が、これだ。

家を検討するために、私たち夫婦はセキスイハイムの4ヶ所の事務所・展示場を訪問した。打ち合わせは1回数時間。当時1歳の娘も毎回連れて行った。

ある日、私たちは奇妙な事実に気づく。

──娘が、ハイムの事務所では、4ヶ所すべてでぐっすり寝るのだ。

他社の展示場では、長くて30分、短いと10分でぐずり始めていた。第2回で「展示場巡りは無理ゲー」と書いた通りだ。

ところが、ハイムの事務所では違った。場所が変わっても、時間帯が変わっても、娘は毎回ぐっすり寝てくれる。最初は「たまたまかな」と思ったが、3ヶ所、4ヶ所と回るうちに、夫婦で目を見合わせるしかなくなった。

これは、ある意味で最も衝撃的なデータだった。場所・時間・体調といった条件が異なるにもかかわらず、「ハイムの空間」という一点だけが共通する状況下で、同じ結果(=入眠)が再現される。これは観測者として無視できない事象だ。
要するに「娘ちゃんセンサーが、ハイムを”安心できる空間”って判定してた」ってこと。スペック表よりも、空調設計の説明よりも、あの寝顔がいちばん雄弁だった。

もちろん、これを「科学的なデータ」と言うつもりはない。サンプル数も少ないし、変数も統制されていない。だが、私たちにとっては、どんなカタログスペックよりも説得力のある”生体データ”だった。

「私たちは何のために家を建てるのか」── この問いに、第3回で「娘のため」と答えた。その娘自身が、4ヶ所すべてのハイム空間で「ここなら安心して眠れる」というシグナルを発している。

これ以上の評価軸は、もう存在しなかった。

家とは、「縁」を物理化したものだった

こうして、私たちはセキスイハイムとの契約に踏み切った。

そして、この壮大な家づくり実験を通して、私の中にひとつの明確な「気づき」が生まれた。

最初は、家という「モノ(箱)」を買いに行っている感覚だった。気に入ったメーカーで、気に入った間取りで、気に入った価格で買う── それが家づくりだと思っていた。

でも、膨大な選択肢を前に夫婦で議論を重ね、各社の営業担当者と対峙していくうちに、私の中で家づくりの正体がだんだんと変わっていった。

これは、家を「買う」のではなく、企業と「B2Bプロジェクトを組む」作業に近い── と。

B2B(企業間取引)の本質は、長期にわたるパートナー選定だ。製品の優劣だけでなく、提案組織の将来性、リスク(災害・土地の履歴)の徹底排除、そして30年・40年スパンでの運用(メンテナンス)を共にする能力── これらが評価対象になる。家づくりは、まさにこの構造そのものだった。
私の編集者の言葉で言い換えると、家づくりは「30年契約のチーム組成」ね。誰と組むか、どんな価値観を共有してるか、何を一緒に守りたいか── それが全部、家という形に結晶化される。

そこには、数え切れないほどの人との「縁」があった。たまたま電話を取ってくれた支店長。スーモカウンタの中立なアドバイザー。私たちに合わなかった他社の担当者ですら、「合わなかった」という体験を提供することで、私たちの判断軸を磨いてくれた。

家とは、ポンと買えるモノではない。

「人とのつながりや、家族への想いといった目に見えない『縁』を、物理的な形にしたもの」── それが、私たちが家づくりの末に辿り着いた、ひとつの定義だった。

最強のパートナー(支店長)と、強靭な構造、そして運命の土地。すべての縁が重なり、私たちのB2Bプロジェクトはついに実行フェーズへと移行する。

次回予告

次回・第5回「設計から工場見学、そして空飛ぶユニット編」では、いよいよ家づくりの実行フェーズへと入る。

理系夫のテンションが最高潮に達する「工場見学」、ミリ単位で組み立てられたユニットがクレーンで宙を舞う「据え付け」── 制御された家づくりプロセスの全貌を、写真と共にお届けする予定だ。

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