家づくりは、人生における最大規模の「実験」だ。
数千万円という資金を投じ、数十年先のライフスタイルを予測しながら、無数にある選択肢の中から最適解を導き出さなければならない。
私たちの家づくりプロジェクトが本格始動したのは、娘が1歳になる目前の2022年の秋のこと。最終的に私たちは数あるハウスメーカーの中から「セキスイハイム」を選び、念願だったエリアで注文住宅を建てることになるのだが――その判断に至るまでのプロセスは、実は「建物選び」よりも先に「土地選び」から始まっていた。
本記事は、家づくりの全工程を記録する連載の第1回・土地編だ。なぜ私たちがその土地にこだわったのか。予算・立地・教育環境という複数の変数をどう天秤にかけたのか。判断プロセスをそのまま公開する。




これから家づくりを始める方、あるいはエリア選びで迷っている方にとって、一つの検証データとして役立てば嬉しい。
狂った不動産市場と「4000万円の壁」
家づくりの第一歩として、私たちはまず当時住んでいたアパート周辺の建売物件・中古物件の視察から始めた。
私たちがこの街(茨城県つくば市)に越してきた2015年当時、周辺はまだ野原が広がっており、新築戸建ての相場は4000万円程度だった。しかし、それから約7年。いざ自分たちが家を買おうと市場を覗いてみると、信じられない現実が待っていた。
当時新築で売られていた家が、築7年の中古物件として「4500万円」で売り出されていたのだ。






新築価格を中古価格が上回る、明らかな市場の歪み。物価高と地価上昇が引き起こしたこの強烈なインフレを目の当たりにし、私たちは早々に「予算と立地のトレードオフ」という現実を突きつけられることになった。
当時の私たちの予算上限を「4000万円以下」と仮定してシミュレーションを回すと、選べるのは山側のエリアのみ。娘の小学校までの道のりは4kmのあぜ道となり、最寄り駅までは10km離れるという過酷な条件だった。
「妥協」か「資産価値」か。狙いを定めた分譲地
家は単なる「箱」ではなく、家族の生活基盤であり、同時に巨大な「資産」でもある。
通勤自体は車であったものの、将来的な出張時のアクセス、お酒を伴う付き合いの際の利便性、そして何より「娘の教育・通学環境」という変数を入力した結果、山側の土地を選ぶという選択肢は私たちの中で完全に消去された。






そこで私たちがターゲットとして再設定したのが、つくば駅側に新しく造成された「公務員宿舎跡地の大規模分譲地」だった。
実は2015年の引っ越し当初、そのエリアは高級住宅街として到底手が出ない場所だった。しかし、宿舎の解体に伴ってまとまった土地が供給されるこのタイミングなら、勝機があるかもしれない。
「新築か中古か」「どのハウスメーカーか」という建物側の議論の前に、まずはこの「資産価値が高く、教育環境が整った土地」を手に入れること。これが私たちの家づくりにおける最優先ミッションとなった。






毎週末、車を走らせては土地の状況を視察し、情報収集を繰り返す日々が始まった。
次回予告
土地の方向性が決まった一方で、もう一つの大問題が「どこのハウスメーカーで建てるか」だった。
娘がまだ1歳前の我が家にとって、住宅展示場を歩き回るのは現実的ではない。そんなとき、コロナ禍をきっかけに始まったある仕組みが突破口になった――。
次回・第2回「ハウスメーカー選びの入口編」では、スーモカウンタを使ったオンライン相談の実態と、「住宅展示場に直接行くと損をすることがある」という、業界の構造的な落とし穴について書く。




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